「あの人気漫画が、ついに実写映画化!」そんなニュースを見たとき、みなさんはどう思うでしょうか?
「え?すごい楽しみなんですけど~!」と思う人もいれば、「どうせ失敗して黒歴史になるんだろ」と感じる人もいるでしょう。
なぜなら漫画の実写化は結果のふり幅が大きいからです。
しかし、漫画の実写化に一つの正解例が提示されました。
今、「ジョジョの奇妙な冒険」をAIで再現したYouTubeチャンネル「空想怪獣図鑑」さんの動画が話題になっています。
「漫画をAIで再現」というと、AIの発達が盛んになった頃から色んなチャンネルが取り組んでいる手法ですが、なぜここにきて話題になっているのか?
この記事では、「逆転の発想」を取り入れたジョジョAI動画の秘密に迫ります。
AIの弱点を逆手に取った昭和特撮という発想
AIで動画を作る技術は、ここ数年で急速に進化しています。
画像生成AIや動画生成AIによって、誰でも映画のような映像を作れる時代になってきました。
しかし実は、AI動画にはまだ多くの弱点があります。
特に問題になりやすいのが、「リアルな表現」です。
人物の手が不自然になったり、背景の位置関係が崩れたり、動きが途中で破綻することもあります。
つまりAIは、リアルな映像を長く安定して作ることがまだ苦手なのです。
例えば次のような弱点があります。
| AI動画の弱点 | 内容 |
|---|---|
| 人物の動き | 手や顔の形が崩れることがある |
| 空間の整合性 | 背景や物体の位置が不自然になる |
| 長いシーン | 時間が経つと映像が破綻しやすい |
| リアルな演技 | 表情や動きがぎこちなくなる |
普通であれば、こうしたAIの弱点はできるだけ隠そうとします。
しかし今回のジョジョ実写化動画では、まったく逆のアプローチが取られています。
AIの弱点を活かした斬新なアプローチとは
それは「昭和特撮風の演出」です。
昭和特撮とは、1960〜80年代に作られた日本の特撮作品のスタイルを指します。
たとえばウルトラマンや仮面ライダーなど、多くのヒーロー作品がこの時代に生まれました。
昭和特撮には次のような特徴があります。
- ミニチュアセットを使った撮影
- 合成が分かる映像
- 大げさでアツい演技
- 派手な光や爆発
- 今見ると少しチープな映像表現
現代の映画と比べると、かなり手作り感のある映像です。
しかしここで面白いことが起きます。
AI動画の弱点は「不自然さ」です。
そして昭和特撮の魅力も「不自然さ」なのです。
つまりAIの欠点が、そのまま特撮の味になる可能性があるのです。

AI動画でたまに見られる雑な部分が、昭和特撮のダイナミックなアバウトさと重なるんですね
ジョジョと昭和特撮の奇跡的なマッチング
さらにジョジョの奇妙な冒険という作品は、そもそもリアルな表現よりも独特なポーズや漫画的な演出が特徴です。
極端なポーズ、強烈なセリフ、独特な構図。
漫画内で「ドッギャ~~ン」という効果音とともに放たれる、ジョジョという作品のエネルギーは昭和特撮の演出ととても相性が良いのです。
つまり「ジョジョ」「昭和特撮」「AI動画」という三つの要素は、意外なほど相性の良い組み合わせなのです。
「空想怪獣図鑑」動画より引用 悪の吸血魔人DIO
昭和特撮風ジョジョ動画が面白い理由
では、なぜ昭和特撮風のジョジョ実写化動画はこれほど面白く感じるのでしょうか。
理由の一つは、「違和感が魅力に変わっている」ことです。
AI動画の不完全さ=いつか見た風景
AI動画はまだ完全ではありません。
映像のどこかに、必ず不自然な部分が出てきます。
しかし昭和特撮の世界では、その不自然さがむしろ魅力になります。
大げさすぎる動き、明らかにアフレコで口の動きとマッチしていないセリフ。
「なんでそうなるんだよ!」とツッコみたくなる無理やりな展開。
子ども時代はそれでも多くの人がワクワクして見ていたのです。
なぜなら特撮はリアルさよりも、勢いと演出の面白さが重要だからです。
この感覚は、ジョジョの奇妙な冒険によく似ています。
ジョジョと昭和特撮の親和性
ジョジョの魅力はリアルさではありません。
特に第三部はむしろ王道の少年漫画であり、次のような要素が作品の面白さになっています。
- 独特すぎるポーズ
- 印象に残るセリフ
- 強烈なキャラクター
- 大胆な構図
つまり昭和特撮のテンションは、ジョジョの世界観と非常に近いのです。
AIの不自然さ、昭和特撮の演出、そしてジョジョの世界観。
この三つが重なることで、他では見られない独特の面白さが生まれているのです。
製作者の昭和特撮とジョジョへの愛
チャンネル主「空想怪獣図鑑」さんの昭和特撮とジョジョへの造詣の深さも面白さの要因となっています。
ジョジョ+昭和特撮+AIの組み合わせが面白いと気づいても、作品に対する知識が乏しければここまで面白くならないはず。
「空想怪獣図鑑」動画より引用 スタンドをCG風ではなく、あえて手描き風に表現している
空想怪獣図鑑さんはAIでの再現にあたり、ところどころ進行や演出などを変えていますが、その変更の仕方はジョジョに詳しいからこその変更で、違和感を感じさせません。
また、昭和特撮の独特なカメラワークが随所に見られ、「詳しい人だな」と感じることが多々あります。スタンドの「着ぐるみ感」も秀逸。
そもそもジョジョと昭和特撮の親和性に気づく事自体が、両作品に愛があるからこそと考えられます。
そして、動画の構成がドラマとしてしっかり出来ている事も魅力の一つ。気づいたら最後まで見てしまったというコメントも多く、物語としての筋がしっかり練られていることが分かります。
AIの進化がとまらない今、あえて追及する懐かしさ
さらにもう一つ重要なのが「ノスタルジー」です。
昭和特撮は、日本の多くの人にとって懐かしい文化です。
ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊など、多くの作品が子どもたちを夢中にさせてきました。
AIという最新技術を使いながら、昭和の映像文化を再現する。
このギャップが、非常に面白いのです。
「空想怪獣図鑑」動画より引用 昭和特撮ミニチュア風エジプト 再現度がすばらしい
最新技術とレトロ文化の融合。
それがこのジョジョ実写化動画の魅力と言えるでしょう。
AIの弱点を逆手に取り、昭和特撮の表現と組み合わせる。
このアイデアは、単なるAI動画ではなく、新しい映像表現の可能性を感じさせてくれます。
これからAI動画が進化していく中で、こうした発想から新しいジャンルが生まれていくかもしれません。
もしかすると未来には、「AI特撮」と呼ばれる映像表現が当たり前になる日が来るのかもしれませんね。
あとはなんとか存続を願うのみ
YouTube界隈は規約が複雑で、最近も突然のチャンネルBANが話題になっていました。
また、「ジョジョの奇妙な冒険」というIPを扱っていることから、空想怪獣図鑑さんの動画は割とデリケートな位置にあると言ってもいいかもしれません。
個人的には空想怪獣図鑑さんの動画はめちゃくちゃ面白いので、なんとか続いてほしいと思っています。
集〇社さん、ディオを倒すまで、なんとか見逃してあげてください…おにゃしゃす!
そして、動画を作成されている空想怪獣図鑑さん。動画の尺は7分前後ですが、作成には何十倍も時間を割かれていると存じます。
今後もお体に気を付けつつ、楽しい動画を作ってください。応援しています!





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